虐待
ニュースなどで虐待が報じられる度に何ともやりきれない思いにさせられます。ついつい加害した親を責めたくなるのが人情でしょう。
ただ、親が過剰に責められると今度は親が被害者になります。親自身も子ども時代に虐待されてきた被害者だったという場合もあります。対応が悪いと児童相談所を責めたてる人もいるでしょう。すると児相が被害者となります。保護された子どもが施設職員に対して暴力的になることもあり、ここでは子どもが加害者になってしまいます。逆に子どもが施設職員を挑発して職員からの暴言を引き出すこともあります。
これらは決して意識的なものではなく、知らず知らずのうちになってしまうのです。このように加害-被害という構造を生み出しやすいことが虐待の特徴です。自分の中に生じる怒りの感情を自覚してそれに流されないこと(これが難しいのですが)が必要です。
社会的にも経済的にも孤立している家庭に虐待は起こりやすい傾向があります。親御さんにとっても子どもさんにとっても辛い「虐待」の連鎖を断ち切るために、家族・教育・福祉・医療がネットワークを作って、少しずつでも良い方向に持っていけるように努力することが必要です。